経済産業省と東京証券取引所は2020年8月25日、「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」の選定企業35社と「DX注目企業2020」21社を発表した。DX銘柄選定企業の中から、「デジタル時代を先導する企業」として、小松製作所とトラスコ中山が「DXグランプリ2020」に選ばれた。本稿では、前回までの「攻めのIT経営銘柄」からのリニューアルの意図、選定企業の顔ぶれ、DXグランプリ2020受賞2社の取り組みの詳細をお伝えする。, コロナ禍が長期化する中で、内閣府が日本の実質GNP年率27.8%減と記録的な落ち込みを発表するなど、我が国の経済は依然として先行きが案じられない状況にある。, 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックに伴い、株式市場においても日経平均株価が2万円のボーダーを割り込み、3年4カ月ぶりに1万7000円台割れまで急落下するなど、一時はリーマンショック以来の暴落相場も経験した。その後は2万円台に回復したものの、当初の下落は工場の生産能力の低下、サプライチェーンや交通網の遮断などの「供給ショック」に起因していると言われており、今後は個人消費や企業の設備投資の抑制に伴う「需要ショック」、不良債権などによる金融機関への経営圧迫を踏まえた資金調達環境の悪化に伴う「金融ショック」へのリスクも内包されている。, そのような中、2020年8月25日に「DX銘柄2020」(旧称:「攻めのIT経営銘柄」)選定企業の発表がなされた。評価委員長を務めた一橋大学名誉教授の伊藤邦雄氏(写真1)は、「DX銘柄選定企業はその他の上場企業と比較して高いROE(自己資本利益率)を維持しており、株価においても日経平均よりも下落幅が小さく、戻りも早い」と指摘している。本稿では、DX銘柄2020を俯瞰しながら、改めて企業にとってのデジタルトランスフォーメーション(DX)の意義を探っていく。, 「DX銘柄」は、経済産業省と東京証券取引所が共同で手がけるプログラムだ。中長期的な企業価値の向上や競争力の強化を目的に、日本企業の戦略的IT活用の促進に向けた取り組みの一環として、2015年より5回にわたって共同で実施してきた「攻めのIT経営銘柄」の延長線上にある(関連記事:2025年の崖目前、レガシーから脱却しDXに舵を切る─「攻めのIT経営銘柄2019」選定企業が発表/ANAホールディングス、JFEホールディングス、丸井グループ─「攻めのIT経営銘柄2019」3社がDXで実践したこと)。, 名称のとおり、今回より「DXの実践」にフォーカスして、体系の整理と見直しを図ってプログラムを改定した。経産省と東証は、DXを「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」と定義している。, 前回までの攻めのIT経営銘柄では、経営革新、収益水準・生産性の向上をもたらす積極的なIT利活用に取り組んでいる企業が選定されてきた。これに対して、DX銘柄では、デジタル技術を前提にビジネスモデルなどを抜本的に変革し、新たな成長・競争力強化につなげていくことを目的に、積極的に「DXに取り組む企業」を選定するとしている。図1は、攻めのIT経営銘柄との違いを表した評価フレームワークの、図2は評価軸で、これまで以上の変革が、より戦略的観点から求められていることがかいま見える。, 経済産業省 商務情報政策局 情報技術利用促進課 課長の田辺雄史氏は、今回よりプログラムをDX銘柄に改めた理由と選定のポイントについて、次のように説明している。, 「経産省では、2018年9月に『2025年の崖』というキーワードを踏まえた『DXレポート』を発表し、レガシーシステムからの脱却へ向けて警鐘を鳴らしてきました。そして、実際にデジタル化というものがビジネスの根幹になりつつある中で、DXはもはや強制的に進めなくてはならない時代に入っている──この認識の下で今回の改訂を行いました」, また伊藤氏は、DXの意義について次のように指摘している。「すでにDXは経営にとって、ベターではなくマスト、手段ではなく前提になっています。"Online Merges with Offline(OMO)"やAfter Digital、"Direct to Consumer(D2C)などといった言葉に象徴されるように、リアルがデジタルに包含され、主従逆転の時代となりつつあるのです」, なお、経産省ではDXの推進に向けて、2019年7月に「DX推進指標」、同年10月に「情報処理促進に関する法律」を一部改正するなど、DXを法律的に位置づける施策も進めてきた。これらは、新たなデジタル技術や多様なデータを活用して経済発展と社会的課題の解決を両立していくという政府の「Society 5.0」ビジョンに呼応している。, さらに、2020年1月には有識者による「Society 5.0時代のデジタル・ガバナンス検討会」を立ち上げ、経営における戦略的なシステムの利用の在り方を提示する指針、およびその達成度を測る評価基準「デジタルガバナンス・コード」の策定に向けた検討を進め、この秋を目途に方針を固めたいとしている(関連記事:経産省が「2025年の崖」対策の第2弾を発表─「DX銘柄」と「デジタルガバナンス・コード」を読み解く)。, すでに同検討会は3回の審議を重ね、2020年5月18日に発表された中間とりまとめでは、「デジタルガバナンス・コードの全体構造」を示している(図3)。なお、検討会ではDX銘柄評価基準検討のワーキンググループも発足しており、今回のDX銘柄2020においても図1の「望ましい方向性」を示している企業が、デジタルガバナンス・コードとの整合性を踏まえて選定されている。, 経済産業省 / 東京証券取引所 / DX銘柄 / 攻めのIT / デジタルトランスフォーメーション / トラスコ中山 / コマツ, ジャスミンソフト、クラウド上の開発・運用に対応したローコード開発ツール「Wagby 10」をリリース, SmartHR、Salesforce上の営業活動データをプロセスマイニング「Celonis」で分析、効率的な営業手法を算出, Industrie 4.0進展のカギを握るデジタルツイン─ドイツ語圏発の技術・企業動向:第18回, ローコード開発の先駆者 Wagbyが示す2つの進化系、2021年初頭に登場するWagby R9とWagby 10の姿が明らかに, コロナ禍で露呈したグローバル・サプライチェーンの弱み、「一気通貫のリアルタイム可視化」こそが課題を根底から一掃する, 基幹系と情報系をひとまとめにするDX/AI時代の新機軸、あらゆるデータを一枚岩で高速処理するIRISの真価, ローコード開発プラットフォームへ着々と進化intra-mart Accel Platformが実現する攻めのIT, DXの“稜線”まで二人三脚で汗を流す──「Ridgelinez」に込められた心と、新たな未来予測まで包含したアプローチとは, 永遠の課題である“業務生産性の向上”を、業務可視化×プロセスマイニングで実現する!, 変革サイクルを回す!――マーケットリーダーCelonisが明かす、プロセスマイニングの可能性, 「2025年の崖」を乗り越えるために――VMwareがアプリケーションとインフラ向けの製品群を発表, 社内データの意味を見える化し全方位から把握! ビッグデータ活用は“メタデータマネジメント”が鍵に, プラットフォームビジネス事業者が推進する「デジタル革命」~日本企業が考えていなかった、グローバルでは当り前のデータ活用とは?, IT Leaders 会員になると会員限定公開の記事を読むことができますIT Leadersのメルマガを購読できますImpress Business Libraryもご利用いただけます。, 終了いたしました【2020/2/1 22:00】一部会員機能メンテナンスのお知らせ(2020/2/1), IT LeadersとImpress Business Libraryが会員共通化でさらに便利に!(2017/12/19), 生命保険8社、マイナンバーカードで保険料控除証明書を電子交付、2020年10月から, COVID-19治療薬開発の合弁会社「ペプチエイド」設立、富士通のデジタルアニーラを活用, Sansanの個人向け名刺管理サービス「Eight」、“複業”パラレルワーカー対応の新機能, IMD世界競争力ランキング34位─日本が抱える最大の課題は「ビジネスの効率性」:第2回, 暴露型ランサムウェアが増加、7割はリモートデスクトップ経由で侵入─マクニカネットワークス, ランシステム、IPv6/IPoE接続でIPv4固定IPアドレスが使えるサービス「IPマルチコネクト」を提供, IT Leadersは、企業の情報システム部門にご所属、または経営に携わるお客様を対象としたIT専門誌です。事業部門、研究開発部門、間接部門等にご所属のお客様でも、ご所属企業(または団体)におけるIT化を推進されるお立場の方にもお読みいただけます。, ポストコロナに向け、DXを先導するユーザーの着眼点は─「DX銘柄2020」選定企業の顔ぶれ経済産業省と東京証券取引所は2020年8月25日、「デジタルトランスフォーメーション銘柄(DX銘柄)」の選定企業35社と「DX注目企業2020」21社を発表した。DX銘柄選定企業の中から、「デジタル時代を先導する企業」として、小松製作所とトラスコ中山が「DXグランプリ2020」に選ばれた。本稿では、前回までの「攻めのIT経営銘柄」からのリニューアルの意図、選定企業の顔ぶれ、DXグランプリ2020受賞2社の取り組みの詳細をお伝えする。. デジタル技術を活用して事業や組織、業務を変革し、新たな成長や競争力強化につなげている企業はどこか――。2020年8月25日、市場から注目を集める「デジタルトランスフォーメーション(DX)銘柄 2020」を経済産業省と東京証券取引所が発表した。, DX銘柄は企業の評価に直結するとして、市場関係者の注目度は高い。前身となる「攻めのIT経営銘柄」から数えて6回目となる今回は、前回(2019年)より6社多い35社が選定された。, 同銘柄は東証上場(一部、二部、ジャスダック、マザーズ)の約3700社を対象に実施するアンケート調査を基に選定する。有識者らで構成する「DX銘柄評価委員会」が原則として業種ごとに1~2社を選ぶ仕組みだ。2020年は過去最多となる535社から応募があった。, 初選出は13社。鹿島建設、ダイダン、日清食品ホールディングス、中外製薬、AGC、ダイキン工業、ヤマハ発動機、トプコン、NTTデータ、住友商事、トラスコ中山、りそなホールディングス、GA technologiesだ。一方、6年連続で選ばれている企業はアサヒグループホールディングス、ブリヂストン、JFEホールディングス、JR東日本、東京センチュリーの5社だった。, 銘柄の中で「最もデジタル時代を先導する企業」として、コマツと機械工具卸のトラスコ中山の2社が「DXグランプリ」に選ばれた。トラスコ中山は経営トップの強い推進力のもと、基幹システム刷新を契機に取り組んだ各種IT施策が高い評価を得て、初選出ながらグランプリに輝いた。, 世界では5Gの次の世代「6G」に向けた議論も活発化しています。5Gから6Gに向けて通信はどのように変化し、社会やビジネスにどのようなインパクトをもたらすのでしょうか。国内外からキーパーソンが集まり、Beyond 5G/6Gの未来を描きます。, 「Beyond 5G/6G International Summit」の詳細はこちら, 2020年11月24日(火) 14:00~17:25 2020年11月25日(水)14:00-17:25, 2020年10月1日に起こったシステム障害と、過去の東証関連記事をまとめました。最新情報を随時追加します。. キョウコの投資教室の動画概要 子育て世帯におすすめの株主優待を5つご紹介しています。 ... キョウコの投資教室の動画概要 2020年2月の株主優待で、オススメの銘柄をご紹介してい... キョウコの投資教室の動画概要 「eスポーツ」の市場規模や、注目の関連銘柄についてご紹介... キョウコの投資教室の動画概要 株式市場で起こった過去の暴落を振り返り、 これまでのNY... キョウコの投資教室の動画概要 いよいよ5Gの商用サービスが開始されましたね。 株式市場... キョウコの投資教室の動画概要 長期的に成長が期待される国策テーマ「ロボット関連」の注目... キョウコの投資教室の動画概要 2020年2月の株主優待の中から、10万円以下で買える格... キョウコの投資教室の動画概要 「三菱UFJリース」株の魅力について解説しています。 三... 大統領選挙で騰がる株。下がる株。バイデン候補で騰がる株はやっぱりクリーンエネルギー!再生可能エネルギー!環境株!. 最終更新日: 2020年11月13日. dx銘柄選定企業の中から、「デジタル時代を先導する企業」として、小松製作所とトラスコ中山が「dxグランプリ2020」に選ばれた。本稿では、前回までの「攻めのit経営銘柄」からのリニューアルの意図、選定企業の顔ぶれ、dxグランプリ2020受賞2社の取り組みの詳細をお伝えする。 経済産業省と東京証券取引所は2020年8月25日、デジタル技術を活用して事業や組織、業務を変革し新たな成長や競争力強化につなげている企業35社を「デジタルトランスフォーメーション(DX)銘柄 2020」に選定したと発表した。同銘柄は2019年まで「攻めのIT経営銘柄」の名称だったが、今回からDXに焦点を当て名称を改めた。, 同銘柄は2015年から毎年発表しており、今回で6回目となる。DX銘柄の中で最もIT活用に優れた「DXグランプリ」にはコマツと機械工具卸のトラスコ中山の2社が選ばれた。, 同省はこの事業の目的について、中長期的な企業価値の向上を重視する投資家に向けて魅力ある企業を紹介し、企業のDX推進を後押ししたいとする。, 世界では5Gの次の世代「6G」に向けた議論も活発化しています。5Gから6Gに向けて通信はどのように変化し、社会やビジネスにどのようなインパクトをもたらすのでしょうか。国内外からキーパーソンが集まり、Beyond 5G/6Gの未来を描きます。, 「Beyond 5G/6G International Summit」の詳細はこちら, 2020年11月24日(火) 14:00~17:25 2020年11月25日(水)14:00-17:25, 2020年10月1日に起こったシステム障害と、過去の東証関連記事をまとめました。最新情報を随時追加します。.