人事院は10日、国家公務員の定年を60歳から65歳に段階的に引き上げるため、関連法改正を求める意見を国会と内閣に提出した。60歳に達した職員を原則管理職から外す「役職定年制」の導入や、年間給与を60歳前の7割水準に設定することなどを盛り込んだ。政府は来年の通常国会への関連法改正案提出を目指す。定年延長の開始時期は今後検討する。 前回は、今秋の臨時国会で成立見込みの公務員の定年延長について、それは必要ないのではないかという愚見を述べさせていただきました。, 今回は、今後の定年延長を考えるにあって、現在の再任用制度*1の利用状況について、確認しておきたいと思います。, 人事院月報2019年11月号に掲載された給与局生涯設計課の「国家公務員の再任用の現状と課題」によって、最近の状況を見てみます。, 上記資料の表1を見ますと、最近の国家公務員の新規再任用の状況は下表のようになっています。, 同じ資料の表5「公務(行政職俸給表(一))と民間(事務・技術関係職種)の勤務形態の比較」を見ますと、国家公務員の再任用では、新規で68.7%、再任用職員全体では81.9%が短時間勤務になっていて、フルタイムは少数派です。, 短時間勤務とは、週4日の31時間(始業:午前8時30分、終業:17時15分、休憩時間:12時~13時)などの勤務体制になります。, また、退職時より1級下位での任用が18.0%、2級下位が43.6%、3級下位が29.2%となっています。, 前回にもお示ししましたが、2018年10月の人事院の「定年を段階的に65歳まで引き上げるための国家公務員法等の改正についての意見の申出の骨子」をみますと、現在の再任用制度においては、短時間勤務の割合が高いこと、主任級、係長級としての再任用が多数を占めていることで、「職員の能力及び経験を十分にいかしきれず、公務能率の低下が懸念」される、「職員の能力と経験を本格的に活用することが不可欠」として、定年延長の必要性を述べていますが、果たしてそうでしょうか。, 短時間勤務、下位ポストでの任用の問題は、いきなり定年延長ではなく、まず再任用制度の改善等を検討すべきだと思います。, それに、60歳到達時点で普通退職しての、現行と同じ短時間勤務の再任用制度を、定年延長と併存させることとも矛盾しているようにも思われます。, 上記の「骨子」にも、「職員側も、無年金期間が拡大する中、生活への不安が高まるおそれ」とありますように、人事院の言う定年延長の必要性(短時間勤務、下位ポスト)は後付けの理屈であって、国家公務員側の収入確保が本音の理由と言わざるを得ません。, まずは、今の再任用職員は有効に活用されているのか、各組織、職場での検証が必要だと考えます。, 定年延長によって職場の風通しが良くなればいいのですが、高齢職員が滞留することで、空気が澱むようなことになってはいけません。, 職場の活性化、ひいては国民に対して質の高い行政サービスを提供できるのか、という観点で再検討してもらいたいと思います。, 高齢公務員にとって、収入確保という抜き差しならない課題はありますが、それも現役のときの組織や職場での定年延長、再任用でなければならない理由はありません。, 60歳の定年で、いちど、これからのセカンドライフの過ごし方について考えてみるという機会になっていたのが、定年延長で、その機会がズルズル先送りになってしまうことが懸念されます。, 本当は、40歳、50歳、あるいはもっと早くから、チャンスが来た時にチャレンジできるように、自分を高め、準備しておくことが理想でしょうが、私を含め、そんなことはできない場合も、定年退職の時には多少なりとも考えるはずです。, 国家公務員の定年延長に倣って、地方公務員も同じ内容での定年延長が実施されると思います。, 総務省の資料「平成30年度 地方公務員の退職状況等調査」を見ますと、下表のようになっています。, 大雑把に言えば、地方公務員の場合、定年退職者の7割が何らかのかたちで再就職し、6割が現役のときと同じ組織(役所等)にそのまま残り、5割が再任用職員、1割が臨時・非常勤職員となっています。, 地方公務員の定年延長についても、国家公務員と同じような理由で、定年延長は「必要なし」、あるいは「時期尚早」と考えます。, 公務員の職員制度は、それが国民、市民への質の高い行政サービスにつながるのか、という観点から検討されなければなりません。, 主に民間企業で、コロナ禍でのリモートワークの中で露呈してしまった「仕事をしない・仕事のできないオジサン問題」という難しい問題もあり、それは公務現場にも共通する事柄です。, 再任用制度での課題を解決できないままの定年延長は、問題を先送りするとともに大きくして、解決をより困難にしないかと懸念します。, まずは、現行の再任用制度のなかで、高齢職員を活用できているのか、有効活用するために必要なサポートは何か、検証し検討することを優先すべきではないでしょうか。, *1:公務員の場合は雇用契約によらない任用制度ですので、定年退職後の継続就労も、民間企業のように「再雇用」とは言わず、「再任用」と言います。, 【公務員制度改革】公務員における同一労働同一賃金、「会計年度任用職員制度」について, 「国家公務員の再任用の現状と課題」の「表1 前年度定年退職者(特例定年退職を含む。)の新規再任用の希望状況等 【給与法適用職員】」から作表。. 公務員の定年が60歳から65歳に引き上げられた。 原因は深刻な若手の公務員不足か?2022年に60歳で定年を迎える予定だった人も存続して働かなくてはダメ?この法案を回避する方法も調べてみました。 組織の若返りを図るための手段としてまず考えられるのが、役職を退く年齢を決める「役職定年制」の導入です。役職定年制の導入と併せて、「将来の幹部候補の育成を早い段階から進める」「若手社員が役職に挑戦できる機会・雰囲気をつくる」といった対応策を行うとよいでしょう。, 賃金や年齢構成に関する問題ともリンクするのが、モチベーションの問題です。高齢者は「給与が下がる」「役職に就けなくなる」といった理由から、その他の従業員は「高齢者の賃金・役割に納得がいかない」「高齢者が部下となったときのマネジメントが難しい」といった理由から、仕事へのモチベーションが下がる可能性があります。, モチベーションに関する問題を解決するためには、「高齢者にどのような役割を期待しているのかを伝える」「全社員が納得できる人事制度・給与制度を構築する」「高齢者を部下に持つことになった従業員に対し、研修を行う」などの対応を検討するとよいでしょう。, 健康寿命が伸び元気な高齢者がいる一方で、「若い頃より体調を崩しやすくなった」「体力や集中力が下がった」「持病があり、健康に不安を抱えている」といった高齢者もいるでしょう。健康状態が良くない状態で働いてもらうと、「ミスが増える」「労災に発展する事故が起きる」といった可能性があります。そのため「高齢者の健康管理をどのように行っていくのか」を考えることは、定年延長を進める企業が果たすべき責任の1つと言えます。, 健康管理に関する問題を解決するためには、「通院しやすいよう、業務スケジュールを調整する」「体調面での不安に応じて、業務の内容や作業量を調整する」「がん検診やインフルエンザ予防接種を呼び掛ける」といった対応を検討するとよいでしょう。, 定年延長する際には、さまざまな制度を見直す必要があります。定年延長にあたって企業が検討すべきことをご紹介します。, 定年延長では、従業員の労働条件を変更しない場合がほとんどです。労働条件に変更がない場合、雇用契約を新たに結んだり、雇用契約書や労働条件通知書を作り直したりする必要はありません。労働条件が変わった場合は、雇用契約を結び直し、雇用契約書・労働条件通知書を再作成しましょう。, 退職に関する項目は、就業規則への記載が義務付けられている「絶対的必要記載事項」に該当します。そのため、定年延長する際には就業規則を変更する必要があります。就業規則を変更したら、労働基準監督署に届け出ましょう。, (定年等)  人事院が行った民間給与実態調査では、今年4月の給与、ボーナスともに民間が公務員を上回っており、格差是正のため引き上げが妥当とした。月給は民間の基本給に当たる「俸給表」を改定し、若手を中心に手厚く配分。事務次官ら幹部に適用する「指定職俸給表」は改定しない。, 南海トラフ沿いで30年以内にM8~9級大地震、津波の高さが10メートル以上になる確率. 雇用管理制度の整備などにかかった経費の45%(生産性要件を満たすと60%), (参考:厚生労働省『65歳超雇用推進助成金』『「65歳超雇用推進助成金」のご案内』), 【まとめ】 (参考:人事院『定年を段階的に65歳に引き上げるための国家公務員法等の改正についての意見の申し出のポイント』), 公務員の動向を受け、民間企業ではいつから定年延長が始まっていくのでしょうか。民間企業における定年延長の見通しについてご紹介します。, 「高齢者雇用確保措置」の1つである「継続雇用制度」には、年齢により対象者を限定できる「経過措置」があります。経過措置の対象年齢は3年ごとに1歳ずつ引き上げられていますが、2025年3月31日にはこの経過措置自体が終了します。そのため2025年4月1日から全企業に「65歳までの雇用確保」が義務化されることになります。, (参考:厚生労働省『高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律」の概要【平成24年8月29日成立】』) (参考:高齢・障害・求職者雇用支援機構『65歳超雇用推進マニュアル~高齢者の戦力化のすすめ~』), 人口減少や少子高齢化により、年金の財源確保が難しくなっています。そうした中で、厚生年金の報酬比例部分の支給年齢が、2013年度から2025年度にかけて、これまでの60歳から段階的に65歳まで引き上げられることになりました。これは60歳定年の企業で働いている高齢者にとっては、「定年退職後5年が経たないと、厚生年金を受給できない」ことを意味します。「人生100年時代」とも言われるように、健康寿命が伸びている現在、心身共に元気な高齢者は少なくありません。「年金の受給年齢になるまで働きたい」という高齢者の就労意欲の高まりもあり、定年延長が検討されるようになりました。 定年延長制度はいつから始まるのか? 定年延長は民間企業に先立ち、公務員を対象に議論が進められてきました。2018年6月には「公務員の定年を段階的に65歳に引き上げる方向で検討する旨」が閣議決定 …  国家公務員の定年延長をめぐっては、人事院が18年8月、職員の給与勧告と併せて具体的な仕組みを示した。これを受け、政府は今年の通常国会への改正案提出を目指していた。しかし、統一地方選や参院選を控え、公務員の人件費が増えるとの反発を避けるため、提出を断念。今秋の臨時国会への提出も検討したが、天皇陛下の即位関連行事などで審議日程が窮屈なことから再び見送った。 【監修・寄稿】, 弁護士法人西村綜合法律事務所 東京事務所 高畑 富大(たかはた とみひろ)弁護士【寄稿・監修】, 株式会社MyRefer 取締役 細田 亮佑 (ほそだ・りょうすけ) 株式会社シンフィールド 社長室 田所 洋平(たどころ・ようへい), 株式会社出前館 執行役員 デリバリーコンサルティング本部本部長  現在も60歳を過ぎた公務員は再任用制度で働けるが、給与が60歳前から大幅に減る。人事院は人件費を抑えつつ勤労意欲を維持する観点から、減額幅を3割程度とした。役職定年制に特例を設け、高度な専門知識がある場合は引き続き管理職として働ける余地を残した。介護などを理由とした短時間勤務も認める。 (参考:日本年金機構『厚生年金の支給開始年齢』), 大手企業を中心に、既に定年延長制度を導入している企業があります。実際に、定年延長制度を導入している企業の事例をご紹介します。, 大手生命保険会社の太陽生命保険株式会社では、「従業員」「お客様」「社会」の全てを元気にする「太陽の元気プロジェクト」の一環として、2017年4月に「65歳定年制度」を導入しました。あわせて、役職定年制度も廃止することで、給与・処遇などは60歳以前と変わらないため、シニア層が自身の能力を発揮し、意欲的に働けることが期待できます。加えて、大手生命保険会社では初となる「最長70歳までの継続雇用制度」もあり、定年退職後もシニア層が活躍できる環境が整っているようです。, 飲料品などを製造・販売するサントリーグループでは、高齢者の一層の活躍を図り、60歳以降の就労希望に応える形で、2013年4月に「65歳定年制」を導入しました。60歳以前の人事制度は変更せず、60歳以降は新たな人事制度が適用となります。多様な人材、価値観を受け入れて経営に活かす「ダイバーシティ経営」の一環として、高齢者の雇用継続を促しているようです。, 定年延長にあたり、どのような問題が想定されるのでしょうか。対応策と併せてご紹介します。, 定年延長をする際、大きく懸念されるのが賃金に関する問題です。「高齢者に支払う賃金をいくらに設定するのか」「賞与は支給するのか」「給与支払いのためのお金をどのように捻出するのか」など、さまざまな課題があります。高齢者やその他の従業員が賃金に納得しないと、モチベーションの低下につながりかねません。, 賃金に関する問題を解決するためには「個別対応ではなく、制度化・ルール化する」「特定の従業員だけが損をしないように配慮する」といった観点から、対応を検討することが重要です。高齢者の賃金は、たとえば「資格手当・職務手当などを見直す」「年齢や役職ではなく、成果に応じた給与制度に変更する」といった捻出方法の中から、自社に最も合ったものを選択するとよいでしょう。なお、賃金規定を改定する場合には、労動基準監督署への届出が必要になるなどの注意点もありますので、十分に留意してください。, 定年延長により、従業員全体に占める高齢者の割合が増加することで懸念されるのが、年齢構成のバランスです。高齢者が活躍すること自体は企業にとって良いことですが、それによって若手の「人材育成が滞る」「キャリア志向が弱まる」、社内で「世代交代が進まない」といった事態になるのは、望ましいことではありません。 (参考:厚生労働省 東京労働局ハローワーク『高年齢者雇用安定法ガイドブック~高年齢者の雇用の安定のために~』), 内閣官房が2019年5月15日に開催した第27回「未来投資会議」では、高齢者の雇用促進の一環として、「70歳までの就業機会確保」が提言されています。その実現に向けた手段の1つとして定年延長が挙げられており、今後「70歳までの定年延長」が企業の努力義務となる見通しです。政府は、2020年の通常国会で、それに関連する第一段階の法案提出を目指しています。そう遠くないうちに、70歳定年も現実味を帯びてくるでしょう。 「経過措置」が認められている, 正社員(無期雇用契約)からパートなどの有期雇用契約へ変更可能(労働条件ついては、労働者に一方的に不利になってしまうと違法と判断される恐れもあるため注意が必要), フルタイムの場合もあるが、「短時間勤務」や「週3日勤務」といったように労働時間が減ることも多い, 企業、役職によって異なる(役職に就かなくなった場合や給与制度を変えた場合など、賃金が下がることがある), (参考:高齢・障害・求職者雇用支援機構『65歳超雇用推進マニュアル~高齢者の戦力化のすすめ~』、d’s JOURNAL『【弁護士監修】定年後再雇用制度を整備・活用する際の注意点を徹底解説』), 厚生労働省が令和元年11月に発表した「高年齢者の雇用状況」によると、高齢者雇用確保措置を行っている企業のうち19.4%が「定年の引き上げ」を、77.9%が再雇用制度など「継続雇用制度の導入」を行っています。この結果から、現時点では「定年の引き上げ」よりも、再雇用制度を含む「継続雇用制度」の導入率が高いことがわかります。, (参考:厚生労働省『令和元年「高齢者の雇用状況」集計結果』 P4(3)雇用確保措置の内訳より), 定年延長は民間企業に先立ち、公務員を対象に議論が進められてきました。2018年6月には「公務員の定年を段階的に65歳に引き上げる方向で検討する旨」が閣議決定されています。 (参考:内閣官房日本経済再生総合事務局『高齢者雇用促進及び中途採用・経験者採用の促進』), どのような理由から定年延長が検討され始めたのでしょうか。その背景についてご紹介します。, 日本では、人口減少や少子高齢化が社会問題となっています。現在65歳以上の人口の割合は、全人口の3割弱ですが、2065年には4割弱にまで増える見込みです。それに伴う労働人口の減少が予想される中、労働人口の減少による影響を最小限に抑えるため検討されるようになったのが、スキルや経験が豊富な高齢者の活用です。高齢者に力を発揮してもらうための手段として、継続雇用制度や定年延長制度が検討され始めました。 公務員は安定で楽で簡単な仕事しかしていない。 公務員には誰でもなれる。 そんなイメージが先行し、うつ病は本人のあまえだと揶揄され、 公務員という仕事をメディアも含め卑下してきた。 しかし、そのイメージもここにきて変わってきた。 清村 遙子(きよむら ようこ), 【オンライン】前編 2020年9月29日(火)AM10:00~翌AM10:00まで視聴可、後編 2020年9月30日(水)AM10:00~翌AM10:00まで視聴可, 【オンライン】前編 2020年11月11日(水)AM10:00~翌AM10:00まで視聴可、後編 11月12日(木)AM10:00~翌AM10:00まで視聴可 子や孫の世代がどんどん生きづらくなることが予想される。政府は公務員は守り、民間は70歳まで契約社員などの仕事につき、75歳まで私的年金取り崩し生活案をまとめた。75歳から年金受給の場合84%多くもらえる。が、90歳にならないと元をとれない。健康寿命72歳。 LINEで送る; Tweet; 公開日:2020年7月29 日.  来年の通常国会に提出する場合、年度内は予算案の審議などがあり、成立は20年度になる可能性が高い。当初は21年度からの引き上げを目指していたが、二度の見送りで成立から施行までの準備期間が短くなることから、22年度に先送りする方向だ。. 目次. 有料会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。, 企業での記事共有や会議資料への転載・複製、注文印刷などをご希望の方は、リンク先をご覧ください。 国家公務員の定年を現行の60歳から2030年度までに65歳に引き上げる関連法案が国会に提出されましたが、検察庁法改正案への野党や世論の反発などを受けて、今国会での成立は見送られ、廃案となりました。, 今回の改正案に関しては、秋に想定されている臨時国会への再提出が検討されています。今後民間企業が定年延長を検討する際には、今回の改正案は参考になる部分が多いのではないでしょうか。, 今回は、廃案となった「国家公務員法等の一部を改正する法律案」のうち、国家公務員の定年延長に関して見直しが検討されていた部分の概要を解説します。, 現行60歳の定年を段階的に引き上げ、2030年度に65歳とするものです。(例外として、医師などの一部の職種では66歳~70歳となります。), 定年を65歳に引き上げるのに伴って、定年到達者の再任用制度が廃止され、新たに定年前再任用短時間勤務制度の導入が検討されていました(経過措置として、定年の段階的な引上げ期間中は、定年から65歳までの間、現行と同様の制度が適用されます)。現行の再任用制度は、60歳で定年退職した後に、任期を1年以内で定めて最長65歳まで、フルタイムまたは短時間での勤務を可能にするものです。改正後の再任用制度については「4.高齢期における多様な職業生活設計の支援」で解説します。, 課長、審議官、局長といった管理監督職の職員は、60歳(事務次官等は62歳)の誕生日から次の4月1日(これを「特定日」といいます。)までの間に、非管理職に異動させる「役職定年制」が検討されていました。特例として、役職定年により公務の運営に著しい支障が生ずる場合に限り最長3年間、引き続き管理監督職として勤務させることができるという内容です。, 終身雇用がベースの組織構造で管理監督職のポストには限りがあるため、組織の新陳代謝・活力維持を目的として役職定年制を導入することとしていました。, 職員の給与(俸給月額)は、民間企業の実情を踏まえ、特定日以後に適用される額の7割の水準としていました。役職定年により降任、降給を伴う異動をした職員の給与も、異動前の給与の7割水準で検討されていました。現行の再任用者の給与水準は現役時代の約6割以下の水準ですので、60歳以降定年までの期間は給与が少し引きあがるようなイメージです。, 7割水準は当分の間の措置であり、60歳前後の給与水準が連続的なものとなるように、昇任・昇格の基準、昇給の基準、俸給表などについての検討の状況を踏まえながら、定年引上げ完成の前に所要の措置を順次講ずることが検討条項に含まれていました。給与カーブがどのような形になるかはわかりませんが、ざっくりと以下の図のようなイメージでしょうか。, また、給与制度の見直しを検討するにあたり、まずは人事評価制度について今回の改正法の施行日(2022年4月1日)までに見直しを実施することとされていました。国家公務員の人事制度は、現行の年功序列の制度から成果・能力に応じた制度への転換期にあると言えるでしょう。, 60歳以降における多様な職業生活設計のために、以下の2つの措置が検討されていました。, 当分の間、60歳に達した日以後に退職した職員が不利にならないよう、退職手当は「定年」で退職した場合と同じ支給率で計算されるという内容です。また、60歳以降は給与が7割の水準に減額となりますが、退職手当の額が減額とならないように特例が設けられています。退職手当への影響については、別のコラムで詳しく解説します。, 60歳に達した日以後定年前に退職した職員のうち、希望者は短時間勤務(任期は65歳まで)を可能にする制度を設けるものです。これにより、個人の事情に合わせた多様な働き方が可能になります。 定年前再任用短時間勤務職員の俸給月額は、改正案で新たに追加された俸給表の基準俸給月額(級に応じた額)に、勤務時間の比「(定年前再任用短時間勤務職員の勤務時間)÷(一般職の職員の勤務時間)」を乗じた額となります。, 少子高齢化で若年労働力人口が減少する中、意欲と能力のある高齢者が活躍できる場を作ることが、社会全体として課題になっています。, 国家公務員の定年延長は先送りになりましたが、民間企業においても定年延長や高齢期の人事制度について検討の必要性が高まってきているのではないでしょうか。, 定年延長や人件費の増加は特定のお客様の課題というわけではなく、あらゆるお客様に共通の課題となっています。そこで、IICパートナーズが開発した、お客様から頂いたご意見やご要望を踏まえ、コンサルティングサービスよりも低コストでお客様に共通する課題を解決することができるソリューションサービスです。, ※当コラムには、執筆した弊社コンサルタントの個人的見解も含まれております。あらかじめご了承ください。, 第一生命の予定利率引き下げ報道を解説~確定給付企業年金の予定利率引き下げに伴う影響は?~, 退職給付会計について「無料相談」を承っております。 初めてお問い合わせのお客様にも退職給付会計に詳しいコンサルタントが親切丁寧にご対応いたします。お気軽にご相談ください。. 国家公務員法改正案の審議は8日の衆院内閣委員会で、黒川弘務東京高検検事長(63)の定年延長問題をただそうと森雅子法相の出席を求めた立憲民主党などの野党会派と共産党が欠席したまま始まった。ツイッターでの抗議は、改正案の早期成立を急ぐ与党の動きを受けて広がった。 国家公務員の定年を現行の60歳から2030年度までに65歳に引き上げる関連法案が国会に提出されましたが、検察庁法改正案への野党や世論の反発などを受けて、今国会での成立は見送られ、廃案となりまし …  措置③:定年の廃止, 詳しくは後ほどご紹介しますが、2025年には65歳までの雇用確保が義務化されることになります。また、将来的には「70歳定年」が企業の努力義務になる見込みです。, 企業が高齢者の雇用を促進しようとする際、定年延長と同様に検討されることが多いのが、「再雇用制度」です。再雇用制度とは、定年で退職した人を、雇用形態などを変えて再び雇用する制度です。どちらも「高齢者に活躍してもらう」という点では共通ですが、「対象者」「契約期間」「雇用形態」といった点が異なります。, 対象者を限定できる(限定する基準については、具体性、客観性が必要であり、恣意的な運用は原則禁止) 国家公務員法の一部を改正する法律(昭和56年法律第77号)により定年制度が導入されたことに伴い、昭和59年7月2日に人事院規則11―8(職員の定年)(以下「規則11―8」という。 国家公務員の定年延長に関する法改正の概要 2020/07/29. こんにちは。 前回は、今秋の臨時国会で成立見込みの公務員の定年延長について、それは必要ないのではないかという愚見を述べさせていただきました。 今回は、今後の定年延長を考えるにあって、現在の再任用制度*1の利用状況について、確認しておきたいと思います。  併せて人事院は、2018年度の国家公務員の月給を0.16%(655円)、ボーナス(期末、勤勉手当)を0.05カ月引き上げ年4.45カ月とするよう勧告。月給、ボーナス両方の引き上げを求めるのは5年連続で、年間給与は平均3万1000円増える見通しだ。  措置②:65歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入 弁護士として中小企業向けのリーガルサービスを提供。特に予防法務に力を入れ、経営者向けのセミナーを多数開催。大変好評を得ている。「経営者も従業員も共にハッピーになれる組織作り」を推奨し、女性弁護士ならではの目線できめ細やかなアドバイスをしている。, 近年、社会問題となっている少子高齢化とそれに伴う労働人口の減少。そうした中で、65歳までの雇用確保義務(全企業適用は2025年から)や、政府が「70歳まで働き続けられる環境の確保」を検討し始めるなど、「定年延長」への動きが進んでいます。, 2020年1月8日、厚生労働省は、高齢者の希望次第で70歳まで働くことができる制度を整えることに関して、2021年4月から企業の努力義務にすることを決定しました。さらに、2020年2月4日に政府は、“70歳までの就業機会確保を企業の努力義務”とする、高年齢者雇用安定法などの改正案を閣議決定しました。国会で決定すれば、2021年4月に適用する見込みとなります。この決定によると、定年後の継続雇用だけではなく、フリーランスや起業して働く場合にも、業務委託として契約することを企業に求める内容になっています(2020年2月4日現在)。, 経験やスキルが豊富な高齢者に力を発揮してもらうために、企業はどのような対応を検討する必要があるのでしょうか。今回は、雇用継続のための制度設計のうち、定年延長の概要や背景、定年延長した際に起こり得る問題と対応策、諸制度を見直す際のポイントなどについて解説します。, 従業員が一定の年齢に達したときに、自動的に雇用契約が修了となる「定年制度」。定年延長制度とは、定年となる年齢を「60歳から65歳へ」といったように引き延ばす制度のことです。定年延長制度に関連した法律の内容や、再雇用制度との違いについてご紹介します。, 定年延長制度は、2015年4月に改正された「高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)」に規定されています。高年齢者雇用安定法とは、「高齢者の雇用の確保」「再就職の促進などによる高齢者の職業の安定や福祉の増進」「経済・社会発展への寄与」を目的とした法律です。高齢者雇用安定法第9条では、65歳までの安定した雇用の確保を目的とした「高齢者雇用確保措置」として、以下3つよりいずれかの措置を実施することが義務付けられています。, 措置①:65歳までの定年の引き上げ