なのにビデオテープを見て1週間後に死ぬということが 「ループという空間の内部に生きている固体が、その内部の力だけに頼ってできる範囲を越えているということである。」とバッサリいかれていてちょっといじける。 ある少年~青年からの視線で、ヒトガンウィルスの謎を究明してゆくにあたって「リング」「らせん」を伏線としてきた謎が解かれてゆく。 1998年 日本 監督:中田秀夫 出演:松嶋菜々子、真田広之、中谷美紀 ※ネタバレ注意. ホラー要素がかなり薄いと聞いて本作から読んでみたが、リングから読めばよかったと少し後悔している。三部作全体として、一つのまとまった作品なのではないか。後書きからすると、当初作者にその意図はなかったらしいが。 かつて大ヒットしたジャパニーズホラー、リング。長い髪を垂らし白装束をまというらめしや~とつぶやく典型的な女性の幽霊像も、今ではイコール貞子と呼ばれるくらいに世間に認知されていますね。, そんな日本中を震撼させたリングシリーズも、なんというか最近の独り歩きがすごいというか。気づいたら貞子3Dだとか貞子VS伽倻子だとか、すごいB級ホラーに成り下がっちゃってます。, もはやアメコミとかのノリですよね。そのうちホラー映画のキャラ集めてアヴェンジャーズみたいなものでも作るとか……?, コンテンツが続いていくというのは一人のリングファンとしては嬉しいことでもあるんですけども、でもなんだかなぁって気持ちもあります。, そうなんですよ、貞子やリングシリーズの魅力って、ホラーなのはもちろんその枠で収まりきらないミステリアスな部分にあるんですよね。, ということで今回は、貞子の正体や原作リングシリーズについて解説していこうと思います。, リング、らせんとバースデイに関しては映画化されていますが、リングシリーズの完結編にあたるループに関しては映像化はされていません。, ループが映像化されなかった理由としてはその内容による部分が大きいとは思うのですが、結局のところそれまでのリングシリーズとはまったく雰囲気が違うんですよね。, テレビや映画の映像作品のリングシリーズはいろいろと派生作品が多すぎてとっちらかっちゃってるんですが、原作リングシリーズは意外と刊行数が少ないんですよね。, ホラー作品として大ヒットした第一作目のリング。このリングはたしかにホラー作品ではある一方で、ミステリー要素も組み込まれた作品になっています。, これで助かった、と思ってからのラストの大どんでん返しによってリングという作品は名作となったのだと思います。, 第二作目のらせんではホラー要素は残しつつサスペンス色を強め、さらに医学的な要素を追加していきました。, それでもこのらせんまではまだホラー作品としてのカテゴリーから逸脱したものではありませんでした。, らせんまでのようにホラー作品であれば説明不要だった部分も、SFになったことで理屈をつけさらにそこから世界観が広がりました。, リングシリーズの一番の特徴はジャンルにの枠に縛られない懐の深さであり、それこそがリングシリーズのおもしろさに繋がっています。, リングという作品が大ヒットして、でもただのホラー作品で終わらないってのがすごい意欲的ですし、エンターテイメントという路線をぶっちぎっちゃってるんですよね。, 知られざる貞子の正体や、これまで散々ぼかしてきたループがどうSF作品なのかといったところがわかります。, ループではリングとらせんの世界は環境の変化などをシュミレートする仮想現実世界であることが明かされます。要はコンピューターの中の世界ってことですね。, ホラー作品であったリング・らせんからループでSF作品になったというのは、この世界観によって成り立っています。, これによってシリーズで重要な要素であった呪いのビデオだとかリングウイルスだとかも、死者の怨念だとかそういうものとはまったく違っていて仮想現実世界に起きた不具合という形で説明されることになります。, これすごいですよね、ホラー作品でこれをやるのってある意味で究極の禁じ手だと思いますし。すべてのホラー小説はこの手法で一気に陳腐なものになっちゃいますもん。, ループがリングシリーズとして映像化されていないのも、それまでのホラー作品としてのリングシリーズを否定するものになるからというのもありそうです。, ただ、わたしとしてはリングシリーズをループで完結させたのはホントにすごいと思っています。ただのホラー作品では終わらさなかった、いや終わることができなかったリングシリーズのラストとしてはこれ以上はないんじゃないのかなと。, 仮想現実世界における呪いのビデオだとかはコンピューターの不具合として、そこから貞子という存在の正体に繋がってきます。, 増殖を繰り返して仮想現実世界を埋め尽くしていく。原作リングシリーズでのらせん終了後、ループ開始時には仮想現実世界は増殖した貞子で埋め尽くされて仮想現実世界は停止してしまっています。, このあたりリングシリーズのホントにおもしろいところで、らせんでは呪いのビデオを見ることで感染するリングウイルスとして医学的な要素として扱っていたものを、ループではコンピューターウイルスとして扱っているんですよね。, 同じウイルスという要素を扱い方を変えることで見せ方を変える、連想させるというか昇華させていくところがもう見事としか言えません。, とはいえ、いくら仮想現実世界だからといってポンポン勝手に人が湧いてくるわけではなくて、あくまで現実世界をシュミレートするものなので人が増えるのも男女の性交によるという原則があります。, ではどういった方法で貞子が増殖していくかと言うと、まず一つが排卵日の女性が呪いのビデオを観ると妊娠してしまうというものがあります。, 呪いのビデオを観るとリングウイルスに感染することになりますが、このウイルスには貞子の遺伝子情報が入っていて排卵日の女性がリングウイルスに感染した場合は卵子に受精して妊娠していまいます。, そして受胎したその子供は貞子として生まれてくることになります。らせんではこの方法で貞子が復活しました。, 呪いのビデオでリングウイルスに感染させて妊娠させ貞子を増やしていくという方法は人々がビデオを観てくれなくなれば成り立たなくなります。排卵日にあたるかどうかも不確定ですしね。, そこでもう一つの増殖方法が存在するのですが、ここでもまた貞子の正体に大きく関わってくる部分があります。, 貞子は実は両性具有(睾丸性女性化症候群)であり本来であれば子供は産めないのだけれど、らせんで復活した貞子はパワーアップしていて自分一人で受精させ子供を作れるようになっています。, 貞子が貞子を妊娠しそれを出産するというサイクルによって貞子は増えていきます。貞子が貞子を産み、さらにまだその貞子が貞子を増やしていく。そうやって貞子が増え続けた結果、仮想現実世界は貞子で埋まり停止してしまったということです。, 映画リングの大ヒットから20年経ち、今でも貞子はその存在感を発揮してはいるもののこの先どこへ向かっていくんだろうという不安のようなものがあります。, 貞子VS伽椰子なんかはホラーというよりももはやパニック映画みたいになってきていますしね。シリーズが続いていくのは嬉しいですが、かけ離れたものに変わっていくのは少し寂しくもあります。, だからこそ、今だからこそ原作リングシリーズを読んでほしいなって思います。特に映画でしかリングシリーズを知らないって人にこそ。, わたしも映画のリングを観たあとに原作を読んだ人間ですが、原作を読んだあとの印象は映画を観たあとと全然違っていて、わたしにとってはリングシリーズは読書の面白さを教えてくれた作品の一つであり大事な作品です。, この記事を読んで少しでも興味が湧いたって人はぜひとも原作のリングシリーズを読んでほしいです。今更なんて思わないでね、たぶんこれからもリングシリーズは続いていきますから。, 関ジャニ∞ファンクラブが有効期限切れで失効!購入した支払い済のチケットはどうなる!?, 田中聖のライブ「TANAKA KOKI Presents Easter TOUR 2019」名古屋公演を観てきました!. 娯楽性を抑えたリアルな竜巻映画, 【ゲーム】PS4版Fallout4 MOD紹介第3弾!武器・防具・服など使ってみたものを簡単に解説, 【ゲーム】ディビジョン/協力プレイ前提のオンラインゲームはガチのソロでも楽しめるか?, 【ゲーム】PS4版Fallout4MOD紹介第2弾!居住地クラフト系使ってみたものまとめ, 【ゲーム】PS4版 Fallout4で今使っているMODを紹介。ロードオーダー順解説付き。, 【ゲーム】Fallout4・PS4版/終わりのない物語にハマる!核戦争後の荒廃した世界を生き抜け!. そのクロユリ団地の監督は貞子で有名な「リング」の監督さんなんですね。 本や映画のレビューを中心にしつつ、ぼっち&出不精生活を満喫する管理人の日常のブログです, 投稿日:2015年9月19日 更新日:2018年7月15日, 1998年公開の映画です。もう10年以上前になるんですね。そりゃビデオテープも廃れますわ……。, これが出た当初、確かにヒットはしましたがここまで広がるとは全く予想していませんでした。映画は面白いけど、なんと言ってもホラーですからね。日本でホラー映画がヒットするってなかなか難しいし。, 誰もが知るホラーヒロイン、山村貞子。その記念すべき初登場作品「リング」。その後起きるJホラーの火付け役ともなった本作は堅実に作られたホラーでした。, 作品の醸し出す湿った空気は「呪いのビデオ」というあまりにもバカバカしいものもさらりと信じさせる不思議な説得力をもっています。, 手堅い配役もそれを後押しし、量産されるビックリドッキリホラーとは一線を画した仕上がりになっています。, 今やあの強烈なラストシーンは有名で、話の流れ、見せ場、オチに至るまでネタバレされまくっています。, オチのわかってしまったホラー映画は確かに味気なくなります。が、それでもなくならない魅力を放つ作品はあります。その数少ない作品の一つであると言えるでしょう。, わたしの幸運だったところは、全く予備知識のないところでブームの前に小説の「リング」を読んだことです。, その後2時間ドラマとして高橋克典、原田芳雄が主演で映像化されたものをリアルタイムで観ました。, 原作とは少し設定を変えた劇場版「リング」は人間関係をよりシンプルなものに変え、ホラー的な演出が前面に押し出されています。, 主人公を父親から母親に変え、協力者である高村竜司を離婚した元夫にする、というなかなか強引な設定の変更。特筆すべきなのは、高山が特殊な能力の持ち主でそれが子どもにも遺伝している、という荒技です。, それもこれも演じている俳優さんと演出でなんだかさらりと流せてしまうすごさ。演技力って大事だよ!, 洋画を観ていても思うんですが、突飛な映画をちゃんとした俳優さんが演じるって本当に大事です。洋画だと字幕や吹替えで観ますので、演技が下手でもそんなに気づかなかったりするんですけど、日本人だともう致命的ですよね。, 邦画のホラーをあまり観ないのはそこが原因だったりします。アイドル映画にするのは本当にやめていただきたい……。, 観たら1週間で死んでしまう呪いのビデオテープ。半信半疑ながらそれを探し、観てしまった主人公の浅川が、自分にかかってしまった呪いを解くために元夫とその謎を探る話です。, ホラー的要素とともに、テープの来歴や謎を探り呪いを解くために奮闘する、というミステリー的要素も含んだ作品で、そこが引き込まれるポイントでもあります。, 高山の解剖を担当した安藤は高山の恋人から「呪いのビデオテープ」の存在を聞かされます。信じない高山でしたが……という感じで正当な続編です。, リングでびびりまくったあとにこれをかまされたら、どっちかというと「はいいぃ?」というスカされた感が半端ないんですが……。, リングを読んだだいぶあとに「らせん」の小説を読み、そのあとにあの映画だったので内容は知ってたんですけど、続けて観ると印象が違いますね。, このあとの「ループ」でさらにすっごいSF方向に舵を切るわけで、そこは作者の自由なんですけど……。