中日の本拠地ナゴヤドームが「ホームランテラス」の新設を計画していることが12日、分かった。球団関係者が「球団とナゴヤドームでの話し合いが本格的に始まった」と明かし、早ければ21年シーズンからの運用を目 プロメジャN|プロ野球×メジャーリーグNEWS All Rights Reserved. new! 中日の本拠地に客が集まらない。 若手が伸び始めチームには大きな可能性を感じる。『キモかわいい』ドアラは球界きっての人気キャラ。チアドラゴンズも球場を華やかに彩る。それなのに球場には人が集まらない。 ナゴヤドーム(=ドーム)に魅力がないことも大きな理由なのではないか……。「社会情勢など関係なく、近年ずっと空席が目立っていた」 中日担当記者は、ドームの不入りに周辺状況は関係ないと苦笑いする。「日本シリーズはさすがに満員になる。でもCSシリーズでも、曜日によって空席があった。また開幕カードですら当日券が手に入る時もあった。ドーム開場1〜2年くらいは超満員のプラチナ券だったが、それもあっという間に落ち着いた。当時はチームは強かったし理由として考えられるのは、ドームがつまらないから」 今年は新型コロナウイルスの影響で開幕が遅れた。当初は無観客試合を行なっていたが、7月10日から5000人を上限に観客を入れて開催している。中日は今年の平均観客数3000人台で、チケットは手に入りやすい状況だという。「セ・リーグでは巨人、広島、DeNA戦の本拠地試合は手に入らない。通常の3万人以上規模の収容でもチケット争奪戦になるのだから、5000人上限なら当然のこと。その中で中日の平均3000人は少な過ぎる。チームもBクラスながら何とか粘って上位に行ける位置にいる。コロナ禍の社会情勢だが、他球団を見ても野球への需要は高い。長年言われていたが、やはりドームにも原因があると思われる」(中日担当記者) 以前、中日関係者はドームに観客が入らないことを落合博満監督の責任にしてきた。 落合監督は 04年から11年までの在任中、「勝つことが最大のファンサービス」と公言してきた。観客動員は08年をピークに減ってはいたが、それでも毎年200万人を割ることはなかった。また在任8年間でリーグ優勝4回、日本一1回、2位3回と結果も残した。その後チームは勝てない時期に入り、ドームの集客が減り始めたのはその頃からだ。「10年から2連覇、12年に2位になった後は、7年連続でBクラスと低迷した。チームの弱体化に加えファンの需要に球団、ドーム側が応えられなかったことも大きい。ドーム改修の要望も常にあったが、大きな変化があったのはフィールド席設置やビジョンの大型化ぐらい」(中日担当記者) ドームは97年開場、両翼100m中堅122mと国内ではトップクラスの広さ。4.8mの外野フェンスもあり、本塁打が出にくい球場として有名だ。「選手、首脳陣からすると、やりやすい球場」と中日OBはドームを褒める。「首脳陣からするとゲームプランを立てやすい。投手を中心に失点を防ぎ、少ないチャンスを生かして得点を重ねていく。選手も球場の特徴に合わせれば良い。本塁打が出にくいので、投手は思い切った攻め方ができる。野手も低い弾道で野手の間を抜くような打撃をする。やるべきことがはっきりするので、実力を発揮しやすい」 戦術を明確にして戦うことができる。これを徹底したのが落合監督であり、結果を残した。 ドームはチームカラーに沿った『中日野球』が見やすい球場のはずだが、ファンが足を運ばないのはなぜだろうか。「中日=ナゴヤ球場のイメージが今だに強い。本塁打によるスリリングな試合を望んでいるファンが多い」 中京地区テレビ局スポーツ担当者は、ナゴヤ球場を理由の1つに挙げてくれた。「1軍使用当時のナゴヤ球場は狭く本塁打が量産された。勝っても負けても1発逆転のスリルがあった。投手陣などから反発は多かったが、ファンからすると大歓迎。試合終了まで何が起こるかわからない。当時のテレビ中継は、最後まで視聴率が落ちなかった。『恐竜打線』とは、どこからでも本塁打が出る『ナゴヤ球場打線』と呼ぶ人もいた。だからドームにホームランテラス導入の声も出ているのは理解できる」 ホームランテラスとは外野フェンスの手前、フィールド内に設けられたラッキーゾーン。福岡、千葉で導入され、ナゴヤドームでも設置が検討されている。「ホームランテラス同様、スタンドとグラウンドの距離も問題」と中京地区テレビ局スポーツ担当者が続ける。「広島、甲子園、神宮などはファウルゾーンが狭い。現在、2軍で使用するナゴヤ球場も改修して両翼と中堅はドームに合わせたが、ファウルゾーンなどは以前と変わらない。選手との距離も近く試合を見やすい。2軍戦とはいえファンは満足して帰路につける。ドームは基本円形構造でスタンドからの距離が遠い。傾斜も緩やかなため、離れた場所のプレーが見えない。上階席からの眺望は、はるか遠くを見下ろすような感じで野球観戦という感じではない」 ドームはどの席からでも選手が遠い。それならばテレビやネット配信で十分だ、という思いになっても不思議ではない。「ナゴヤ球場は良かった。繁華街や名駅(名古屋駅)からも近い。試合も見やすい」 年配ファンを中心にそういった声が聞かれる。 ナゴヤ球場は、戦後間もない48年に開場し96年まで中日が本拠地として使用した。ファンに愛され多くの栄光が刻まれている、まさに名古屋のアイコンだった。 球場火災という考えられない事故もインパクトを強めた。51年8月19日の巨人戦では死者4人を出す全焼火災が起きた。90年9月11日の大洋戦では試合開始直前に出火し23分遅れで試合は始まった。 晩年は老朽化に対する不満も多かったが、時間が経過し改めて『良さ』を認識されている。古くて狭かったが、ドームはナゴヤ球場に及ばないのだ。「最近は球団も現実に即したチケット料金への見直しなど行い、以前ほどの高額感はなくなった。それでも安易にドームへ見に行こうという感覚には遠い。ナゴヤ球場時代と比較してしまう人も多いのだろう」(中京地区テレビ局スポーツ担当者) 19年3月7日、DeNAとのオープン戦が行われた。23年ぶりの1軍試合開催で、定員約3000人収容となったとスタンドは超満員に膨れ上がった。郷愁と理想。ナゴヤ球場に対して懐かしさだけでなく、野球場本来の楽しさを感じていた人が多い。 しかし、後ろを見ていても何も変わらない。ドームには大型ビジョンなど、最新式の設備もどんどん採用されている。『大幸横丁』など、名古屋名物を堪能できるフードコートなど、食に力を入れ遠方からのファンにも人気を得ている。アイデア次第で時代に即した素晴らしい球場になれるポテンシャルは十分にあるというのも事実だ。 そして何より大事なのはチームが勝つこと。選手、首脳陣など、現場は勝つことに集中する。球団やドーム側はニーズに合わせ、客が集まるために全力を尽くす。お互いが注力し継続することで、ドームに伝統と歴史が生まれる。ナゴヤ球場とともに、その名が未来永劫残るものになるはずだ。「ジーンと痺れさす」球場になって欲しい。, レジェンドの背番号を“雑”に扱う中日の風潮… 球団関係者やファンから疑問の声も〈dot.〉. 「お母さん〜!」さらば現役、さらばファン…歴代中日戦士たちが残した別れの言葉【増田護コラム】, 亀山つとむ氏 完璧だった阪神・秋山は来季火曜日固定もあり 虎が目指すは鉄壁守備の“オレ流”, 中日・根尾「チャンスメークをするつもりで…」2軍戦でマルチ 執念の内野安打で逆転呼び込む, なぜJFE東日本に採用されたのか?天才・峯本匠(大阪桐蔭出身)を復活させた落合監督の熱いエール【後編】. Copyright 2020 Asahi Shimbun Publications Inc. All rights reserved.No Reproduction or publication without written permission. new! 「7年連続Bクラスのチームにとって、なんらかの改善策は必要でしょう。ホームランテラスを設置すれば、本塁打が増えるだけでなく間近でプレーを見られファンも喜ぶ。落合さんに余計なこと言われるのは、球団にとって迷惑だと思いますよ」(中日球団関係者), 中日が’21年のシーズンからの運用を目指すナゴヤドームのホームランテラスについて、球団と元監督の落合博満氏(66)の間で論戦が起きている。中日の昨季のチーム本塁打は90本と12球団最低。リーグ優勝した巨人の183本とは、倍以上の開きがある。ナゴヤドームは両翼100m、中堅122m、フェンスの高さ4.8mと日本最大級を誇り、本拠地別の本塁打数も76本と12球団最小だった。そこで得点力を強化しようと、中日が計画しているのがホームランテラスの新設だ。, この計画に噛みついたのが落合氏。昨年12月に出演した名古屋のCBCラジオの番組で、こう言い放った。, 「打たれるほうが多くなりますよ。なんで自分のことだけ考えるの? 誰が打つの? ビシエド? 福田(永将)? 誰も30本打ったことないじゃん。他のチームには30本、40本打つ打者がいるでしょう。よそにもっと打たれるよ」, さらに中日を率いた8年間(’04年~’11年)で4度リーグ優勝した自身の経験を引き合いに、自論を展開した。, 「なんで中日が昔、強かったかというとグラウンドが大きいから。投手も安心して投げられた。そういう利点があるのに、ナゴヤドームを小さくするというなら(それに対応した)打線を組まなくちゃ。投手はもっと打たれるよ。ナゴヤドームで(ホームランテラスを)やると、とんでもないことになる」, 「森繁和さんや小笠原道大さんらを退団させ、今の中日には“落合派”と呼ばれる人はほとんどいませんからね。反発も大きい。幹部の間には『息のかかった人間を一掃された腹いせじゃないか』と、うがった見方をする人もいるそうです。辞めた人間に文句を言われたくないというのが、幹部たちの本音でしょう。ただ選手たちの間では、落合さんの意見に賛同する声も少なくない。特に投手陣には『ナゴヤドームの広さに助けられた打球はたくさんある。テラスができると、これまでならアウトだったのにと考えてしまうことも出てくるんじゃないか』と話す選手もいるんです」(前出・関係者), 「ボクは賛成ですね。投手がいくら相手チームを0点に抑えても、味方が点をとってくれなければ勝てません。中日の昨季の打率はリーグトップです(.263)。これで本塁打が増えれば、打線の破壊力は飛躍的にアップする。本塁打は野球の花。お客さんも喜んでくれるはずです」, ホームランテラス設置は、中日にとって吉と出るか凶と出るか。論戦は来季いっぱい続きそうだ。, 本サイトに掲載されているすべての文章・画像の著作権は講談社に帰属します。他サイトや他媒体への無断転載・複製行為は固く禁止します。.